#B777

B777のエンジン

B777's Engine

B777ファミリーのエンジンはそれぞれのタイプに応じて次のようになっていて、B777-200LR/300ER/Fの3タイプを除くB777はP&W社、GE社、RR社の3社のエンジンから選択できるようになっています。

  • B777-200
    • Pratt&whitney社(P&W社)のPW4000シリーズ(PW4084/4074/4077等)
    • General Electric社(GE社)のGE90シリーズ(GE90-76B等)
    • Rolls-Royce社(RR社)のTrent800シリーズ(Trent875/877/884等)
  • B777-200ER
    • P&W社のPW4000シリーズ(PW4090等)
    • GE社のGE90シリーズ(GE90-90B/92B/94B等)
    • RR社のTrent800シリーズ(Trent884/892等)
  • B777-300
    • P&W社のPW4000シリーズ(PW4090/4098等)
    • GE社のGE90シリーズ
    • RR社のTrent800シリーズ(Trent892等)
  • B777-200LR
    • GE社のGE90シリーズ(GE90-110B1)
  • B777-300ER
    • GE社のGE90シリーズ(GE90-115B)
  • B777F
    • GE社のGE90シリーズ(GE90-110B1)

その中で、このページでは、

  • PW4000シリーズ
  • GE90-94B
  • GE90-115B

について詳しく記述しています。

PW4000シリーズ

PW4000シリーズは、Pratt&Whitney社(以下P&W社)でJT9Dを基に開発されたエンジンで、B777(-200/200ER/300)にだけでなくその他の中・大型機に使用されている。
1992年に初運転を果たし、1994年に型式承認を取得した。

ファンのサイズにより大きく3つ(94in、100in、112in)に分けられており、

  • ・94inはA300、B767、MD-11
  • ・100inはA330
  • 112inがB777

に使用されている。

112inは1990年代にB777用として開発されたもので、従来のシリーズに比べファン/圧縮機/タービン等多くの部分が新たに設計された。
112inのモデルの中でもタイプが細分化され、

  • PW4077は-200用の標準タイプ
  • PW4074は-200のうち短距離路線用のderateタイプ
  • PW4090は-200ER/300用のシリーズ中の最大推力タイプ

となっておりそれぞれ、
  • PW4077はETOPS180
  • PW4090はETOPS207

を取得している。

ANAのPW4000エンジン

JT9D:
1960年代にBoeing社が開発を決定した747のエンジンとしてP&W社が手がけた、大型のファンを備えた高バイパス比エンジン。
1966年に初運転、1969年2月9日にB747が初飛行を果たした。
現代のエンジンも基本的な構成はJT9Dと同じであり、航空機用エンジンの歴史的に大きな意味をもつエンジンと言える。
[時代背景]
当エンジンの開発がはじまった1960年代は、ジェットエンジンを搭載した機材が増加している中、米空軍が大型輸送機の機種選定をしており、候補としてLockheed社とBoeing社が挙げられたが、Lockheed社のC-5が採用となり、敗れたBoeign社はその設計を生かして旅客機B747の開発に乗り出した。そのためには従来のエンジンより大推力かつ低燃費のエンジンの実現が不可欠だったため、C-5のエンジン開発に起用されたGE社に代わり、P&W社がB747のエンジン開発会社となった。

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GE90-94B

General Electric社(以下GE社)がB777用に開発したエンジン。
ファンブレードには炭素繊維複合材(CFRP)が使用され、大幅な軽量化が図られた。その成果もあり直径3m超え(3124mm)という大型ファンなのに対し、ブレード1枚の重さは15.4kgとなっている。またファンブレードが幅広+高負荷化されたことから、ブレード枚数は22枚に減少し、その後のエンジンもこれに追随する形となっている。(比較:CF6(747にも使用)は38枚)

1993年から地上試験と飛行試験が開始されたが、開発中トラブルが多発し、1995年にやっと型式承認を取得した頃には、競合機種のPW4000はすでに就航している状況だった。

JALのGE90-94Bエンジン

GE90-115B

B777-300ERのためだけに開発された歴史上最大推力を誇るエンジン。(その巨大さの例えとしてよくエンジン直径はB737の胴体の太さと同じくらいと言われている。)
GE90という名は付いているが、他のGE90シリーズとの共通部分は全体のわずか29%しかなく、新規エンジンの開発と同じくらいの投資を行ったと言われるほど。

ファン翼端が前方にせり出していて、ファン前縁から発生する衝撃波と境界層の干渉を抑えて効率を向上させる「フォワードスウェプト」と呼ばれる複雑な三次元形状のファンであるのが特徴で、圧縮機やタービンの空力設計も-94Bから大幅に更新された。

2001年から地上運転試験が行われ、2002年から飛行試験開始、2003年に型式承認を取得した。

ANAのGE90-115Bエンジン

エンジンのスペック

エンジン型式PW4074PW4074DPW4077PW4090GE90-94BGE90-115B
搭載機種777-289(JAL)*
777-281(ANA)
777-281ER(ANA)777-246(JAL)777-346(JAL)
777-381/281ER(ANA)
777-346ER(JAL)
777-381ER(ANA)
777-246ER(JAL)
推力(離陸)[kN]344.6344.6355.8408.5514.0433.0
燃料消費率(巡航)[mg/Ns]非公表非公表非公表非公表非公表15.6
重量(ナセル含まず)[kg]684771406847714087614902
全長[mm]486848684868486849024902
ファン直径[mm]284528452845284532563124
ファンブレード枚数222222222222
バイパス比6.86.86.46.37.18.4
全体圧力比32.232.234.238.642.039.6

*:Boeing社におけるカスタマーコード「89」はJASのものだった。
「46」:JAL
「89」:ANA

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B777のアンチバランスタブ。